それでは、本日はオンコードについてお話しします。
今までやってきたコードは、最低音(コードの一番下の音)がルートでした。
それ以外にも例えばC Major chordで考えればミが最低音、またはソが最低音になることもあるのです。
このようにコードの最低音がルート以外の音になることをコードの転回形といい、ポピュラー音楽では普通オンコードとよばれます。
オンコードはコードの構成音を変えずに、その順番だけを変えたものなのです。
例えば普通C Major chordをドミソの順番で構成されますが、ミソドの場合もありますし、あるいはソドミの場合もあるわけです。
では実際にどう作るのか見ていきましょう。
まずはC Major chordを作ります。
これを通常のかたちですね。これを基本形といいます。
今回はミを最低音(ベース)にしてみましょう。
この場合はルートのドの音を1オクターブ上に上げてしまいます。
そうするとコードの一番下の音がミの音になりました。
これがオンコードです。
ちなみに第三音をベースにした転回形を第一転回形といいます。
お次にソの音をベースにしてみましょう。
ここではドとミを1オクターブ上げてあげることによって、ソがベースになりました。
第五音をベースにした転回形を第二転回形といいます。
クラシック音楽の世界では転回形の使い方もあれやこれやと指示があるわけですが、ポピュラー音楽に関しては結構フリーに使っていただいてOKです。
例えばC→F→Cというコード進行があったとき、F Major chordの中にCの音が入っているので、Cをベースにしてあげるとコードは変わってるけどベースはずっとCのまま、という感じにすることができます。
オンコードの使い方は無限大。自分なりの使い方を各々昇華してみてください。
オンコードには四和音にも使われることがあります。この場合は第七音もベースにすることができます。
第七音をベースにした転回形を第三転回形といいます。
そしてオンコードにまつわる個人的に面白い話をします。
それはオーギュメントコードとディミニッシュコードです。
・オーギュメントとディミニッシュのオンコード
C Major chordをオンコードにすると、当然並び順も変わるのでそれぞれの音程も変わっています。第一転回形をみるとソとドが完全4度になっています。響きも変わってくるわけです。
ここでオーギュメントコードのオンコードを考えてみましょう。
第一転回形にしてみます。
ん?ソ#とドが減四度ですね。
ここでドを別の音に変化させます。
それはシ#です。
シとドは常に半音なのでシを#で半音あげるとドの音と=の関係になります。(シ#=ド)
そうするとどうでしょう。
それぞれの音程を調べると・・・
なんと、ミとソ#、ソ#とシ#それぞれ長三度なのです。
次に第二転回形を見てみましょう。
ここでソ#の音をラ♭に変えます。
ソ#とラ♭は名前は違えど、実際に鳴る音は同じ音です。(このような関係を異名同音といいます。)
できあがったコードがこちら。
ラ♭とド、ドとミの音程はどうでしょう。
なんとこちらも両方長三度でした。
このようにオーギュメントコードはオンコードにしても必ず長三度ずつの積み重ねになるので、響きが変わらないわけです。なのでオーギュメントコードにオンコードというものは存在しません。
ここでは
Caug=Eaug=A♭aug
となります。他にも、
D♭aug=Faug=Aaug
Daug=F#aug=B♭aug
E♭aug=Gaug=Baug
となります。
オーギュメントコードは名前は12種類あっても実際は響きが同じコードがあるので実質4種類しかないことになります。
同じことがディミニッシュコードでも言えます。
C Diminish chordを第一、第二、第三転回形にしてみます。
(G♭=F#)
音程をそれぞれ調べてみると、全て短三度ずつ積み重ねられていることがわかると思います。
どの転回形にしても基本形と同じく短三度ずつ積み重ねられているのでディミニッシュコードにもオンコードは存在しません。
なのでこういう関係が成り立ちます。
Cdim=E♭dim=F#dim=Adim
C#dim=Edim=Gdim=B♭dim
Ddim=Fdim=G#dim=Bdim
となります。
ディミニッシュコードも名前は12種類ありますが、実際には同じ響きのコードがあるので、実質三種類しかありません。
・オンコードの表記
オンコードの表記のしかたは
左にコードネーム、右にベースの音をかきます。
・C/E
・C/G
・C7/B♭etc...
基本的にはこう書きます。
また/の部分をonに変えて、
・ConE
・CmonG etc...
とも表します。
オンコードについては以上です。
次回はテンションコードについてです。
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